生活習慣病とは

生活習慣病のイメージ写真

生活習慣病とは、いわゆる不健全な生活続けることによって、主にメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)となり、それが原因で引き起こされる病気を指します。
以前は成人病と呼ばれていましたが、成人であっても生活改善によって予防でき、必ずしも罹患する病気ではなく、また成人でなくても発症の可能性があることがわかってきたので、生活習慣病と呼ばれるようになりました。

生活習慣とは、食習慣、運動習慣、休養をどのようにとっているか、飲酒や喫煙などの嗜好などがあげられます。
それらが関わる病気として、高血圧症、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病(Ⅱ型)、高尿酸値症(痛風)などがあります。
さらにこれらの病気は、がん、脳卒中、心臓病などを引き起こす原因ともなることがわかっています。
生活習慣病を起因とする死亡者数は、日本人の約5割を占めると言われており、さらにそれらの病気によって要介護の状態になってしまう場合もあります。
生活習慣病は、実は非常に恐ろしい病気だと言えるでしょう。

しかし生活習慣病は、最初のうちは自覚症状があまりなく、健康診断などで指摘されても、そのままにしてしまうことが少なくありません。
早期に予防や治療を開始すれば、その後に引き起こされる可能性のある病気を回避でき、健康寿命を延ばすことができます。
気になることがありましたら、早めに一度、ご相談ください。

生活習慣病に対処する方法としては、まず身についてしまった、健康にとって好ましくない習慣の改善を始めることが第一歩になります。
長年の研究の結果、提唱されている生活習慣病改善のためのキーワードとして、「一無、二少、三多」があります。

一無
  • 無煙、禁煙/ニコチンやタール、一酸化炭素が体に悪影響を及ぼす喫煙習慣の排除
二少
  • 少食/食事は腹八分目に抑え、塩分や脂質を取りすぎない
  • 少酒/大酒をすれば様々な疾病を誘発するお酒は、1日のアルコール量を20mg程度に(ビールなら中ビン1本、ウイスキーなら60mg、日本酒なら1合程度)
三多
  • 多動/座るより立つ、乗るより歩くを心がけ、できればウォーキングや体操、筋トレを
  • 多休/自分の適正な睡眠時間をとり、休日や、仕事の合間の休息もしっかりととる
  • 多接/多くの人や事、物と接し、刺激を受けるとともに、趣味など創造的な生活をする

上記のような生活を心掛けることにより、エネルギーの摂取と消費のバランスをとることができ、様々な生活習慣病を引き起こすといわれる肥満、特に内臓脂肪型の肥満を防ぐことにつながります。

すでに生活習慣病を発症してしまっている場合は、生活習慣の改善と並行して、それぞれの病気や症状の程度に合わせ、診療を行います。
当クリニックでは、一人一人の患者さまの状況(年齢や生活環境、喫煙歴や飲酒歴など)を踏まえつつ、生活改善のアドバイスから投薬等の治療まで丁寧に行い、生活習慣病が、さらに大きな病気へと進まないよう診療を行っていきます。

主な生活習慣病

高血圧とは

高血圧とは血圧が高いことを指しますが、たまたま測定したときに高かっただけでは「高血圧症」とは言えません。
診察室での繰り返しの測定で、収縮期血圧が140mmHg以上、あるいは拡張期血圧が90mmHg以上の場合、高血圧と診断します。

高血圧には「二次性高血圧症」と「本態性高血圧症」のふたつがあります。
「二次性高血圧症」は、血圧上昇の原因となるはっきりとした病気がある場合のものを指します。腎臓の病気や甲状腺の病気などが考えられます。
生活習慣病である高血圧は、「本態性高血圧症」です。これは原因がよくわからない高血圧で、全体の90%にあたります。
遺伝的な要因に加えて、過剰な塩分摂取、肥満、過剰な飲酒、精神的ストレス、自律神経の異常、運動不足、野菜や果物(カリウム等のミネラル)不足、喫煙などの生活習慣が原因と考えられています。

症状がないからと言って、高血圧を放置していると、血管に常に力が加わった状態になり、血管は次第に厚く、硬くなっていきます。いわゆる動脈硬化と言われる状態です。
これが脳の血管で起これば脳出血や脳梗塞の原因に、心臓で起これば心筋梗塞の原因になります。
他にも大動脈瘤や腎硬化症、眼底出血などが引き起こされる場合があります。
また、高血圧が続くと心臓肥大が起こり、心不全の原因にもなります。

高血圧の治療では、まず食生活の改善を図ります。
特に塩分はとりすぎると、それを薄めようと体内に水分が蓄積し、血流量が増加、血圧が上昇してしまいます。1日の塩分量は6g未満が理想とされています。
また太りすぎも血圧を上げて心臓に負担をかけ、全身の動脈硬化を引き起こしてしまいます。
バランスの取れた食事は、高血圧の予防と症状の抑制に非常に重要です。

煙草は血管が収縮し、一時的に血圧が上がることに加え、血液がどろどろになって凝固しやすくなり、流れも悪くなって動脈硬化の原因にもなりますので、禁煙しましょう。
また運動は血行を良くすることで、血圧低下につながりますし、減量することで肥満防止にもなるので適度なものは推奨されますが、高血圧の重症度や合併症の有無によって、運動強度の許容範囲が異なりますので、ご受診の上、ご相談ください。

生活習慣の見直しを図っても血圧が下がらない場合、またいち早く血圧を下げる必要がある場合は、高血圧薬として降圧剤を用い、血圧をコントロールします。
使われる薬剤としては、体内にある血圧を上げる物質の作用を抑える薬や、その物質が作られるのを阻害する薬、余分な水分を体外に出し、血液量を減らすことで血圧を下げる薬、その他、血管を拡張する薬や、心臓の拍動働きを抑えることで、血圧を下げる薬など、ひとりひとりの症状や身体の状況を詳しく診断したのちに、処方いたします。

脂質異常症とは

血液中に含まれるコレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)等の脂質が、一定基準を超えて多く存在する状態のことを言います。
脂質はもともと重要な栄養素の一つですが、食事からの過剰摂取や、運動不足により脂質の消費量が減少すると、血液中に余分な脂質があふれ、いわゆる血液がどろどろの状態になります。
これらの脂質が血液の壁についてしまうことでも、動脈硬化が促進されてしまいます。

コレステロールにはLDL(悪玉)コレステロールとHDL(善玉)コレステロールがあり、これらに加え中性脂肪の数値が基準とされる数値と開きがある場合に、脂質異常症と診断されます。
なお診断基準につきましては以下の通りで、主に3つのタイプに分類されます。

  • LDLコレステロール値≧140mg/dL(高LDLコレステロール血症)
  • 中性脂肪≧150mg/dL(高トリグリセライド血症)
  • HDLコレステロール値<40mg/dL(低HDLコレステロール血症)

LDL(悪玉)コレステロールとは、体の隅々までコレステロールを運ぶ働きをしているもので、HDL(善玉)コレステロールは逆に、体に余ったコレステロールを回収する働きをしているものです。
また中性脂肪(トリグリセライド)は重要なエネルギー源になりますが、取りすぎると消費されず、肝臓や血中に蓄えられ、多くは皮下脂肪となって肥満の原因になります。

高血圧と同様、通常、自覚症状は現れないのですが、知らず知らずのうちに全身の血管に対し、障害をもたらします。
その主なものが動脈硬化なのです。特に高血圧の人が脂質異常症を伴うと、血管へのダメージは大きく、そのリスクが高まります。
動脈硬化になると、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞を発症するリスクが高まります。
脂質異常症は放置すると、非常に恐ろしい病気だと言えるでしょう。

脂質異常症の改善には、まず食事療法が基本となります。
血中のLDL(悪玉)コレステロール値を下げるために飽和脂肪酸やトランス脂肪酸、コレステロールの摂取量を制限します。
また、中性脂肪(トリグリセライド)を減らしHDL(善玉)コレステロール濃度を上昇させるためには、食物繊維を多くとるなどバランスのよい食事を心がけ、体重を適正な状態にし、糖質とアルコールを制限することが重要です。
またn-3系多価不飽和脂肪酸を摂取することが推奨されています。

適正な体重は「身長(m)×身長(m)×22」(kg)が目安になります。
食事から摂取するエネルギーは生命活動に大切なものでもありますので、バランスを重視し、運動などを組み合わせて、適切に体重を減らしていくことが重要です。

飽和脂肪酸を減らすには

肉類の脂身や鶏肉の皮、牛乳やバターなどの動物性脂肪、ココナッツミルクに多く含まれているので、これらをなるべく避け、赤身肉や低脂肪乳などにします。

トランス脂肪酸を減らすには

工業的に作られるトランス脂肪酸は、揚げ物類やスナック菓子、パイ菓子、クッキー類など市販の洋菓子類に含まれている場合があるので、注意します。

n-3系多価不飽和脂肪酸を摂取するには

n-3系多価不飽和脂肪酸にはEPAやDHAなどがあります。これらは青魚類の脂肪に多く含まれるため、1日に一切れ程度でもよいので、食べることを心がけます。

食物繊維をとるには

精白度の低い胚芽米や麦飯、全粒粉のパン、蕎麦などを主食に取り入れ、野菜類、海藻類、キノコ類、こんにゃく、納豆などの豆類を毎食に加えるようにします。

糖質の摂取量を抑えるには

主食は腹八分目に抑え、菓子類を減らす。甘味の強い果実類も注意が必要で、甘くないものを1日1個程度に。甘いコーヒーやジュース類はなるべく避け、無糖のお茶等にします。

タバコは善玉コレステロールを減らし、悪玉コレステロールの酸化を促進して動脈硬化の原因になるとされていますので、禁煙するのが良いでしょう。
またストレスホルモンにはコレステロールを増やす作用があります。睡眠も十分にとり、なるべくストレスを溜めないことが大切です。
適度な運動は善玉コレステロールを増やし、脂質異常の予防や改善につながりますので、積極的に取り入れましょう。
以上のような食事や運動による生活習慣の改善だけでは、数値を下げるのが難しいのであれば、薬物による治療を行います。
種類としては、主にスタチン系薬を中心に、EPA・DHA製剤や漢方薬などもあります。
当クリニックでは、それぞれの患者さまに合わせて、食事療法・運動療法・薬物療法を行います。

糖尿病とは

食事をすると栄養素の一部は糖となって腸から吸収されます。この糖は常に血液中にあり、体のあらゆる臓器や組織をめぐっていきます。
この血液中の糖の濃度=血糖値が基準値より高い状態が高血糖と呼ばれ、慢性的に高血糖が続いているのが糖尿病です。
血糖値は通常、空腹時に70~100mg/dlです。食事をすると血糖値は上がりますが、基準となる上限は140mg/dlくらいで、これを超えると高血糖ということになります。
重症になると糖が血液中から尿にあふれ、甘い匂いがするため、糖尿病と呼ばれるようになりました。

血糖値が高くても、多くの生活習慣病と同様に、自覚症状はほとんどありません。
しかし、長い間、高血糖の状態を放置すると、全身の大小の血管が傷つけられるなど、多くの合併症が引き起こされます。
微細な血管の障害では、失明の危険性が高い「糖尿病網膜症」、重症化すると人工透析が必要となる「糖尿病腎症」、皮膚感覚や胃腸運動、心臓、四肢、顔面等の全身に異常をきたしてしまう「糖尿病神経障害」が糖尿病の三大合併症と言われており、またより大きな血管では動脈硬化が発症して、心臓病や脳卒中のリスクも高まります。

糖尿病の原因としては、インスリンが十分に働いていないことがあげられます。
通常、血液中にある糖は筋肉などの細胞にたどり着き、取り込まれ、エネルギーとなります。
この際、インスリンは細胞のドアを開ける「カギ」のような働きをします。
このカギがうまく働かないと、糖は細胞に取り込まれず、そのまま血液中にあふれることになります。

インスリンがうまく働かない理由はふたつあります。
ひとつはインスリンを作る膵臓の機能が低下し、十分な量のインスリンが作られないためです。
もうひとつは、インスリンを取り込む側の細胞に問題があり、ドアがうまく開かず、インスリンのはたらきを有効にできないためです。
その原因としては運動不足や過食による肥満と言われています。
こうした要因を踏まえ、糖尿病はⅠ型糖尿病と、Ⅱ型糖尿病に分類されています。
生活習慣病に分類されるのはⅡ型糖尿病です。

Ⅰ型糖尿病(インスリン依存型)

自己免疫疾患などが原因で、膵臓からほとんどインスリンが分泌しなくなることで発症します。ウイルス感染や遺伝的要因が影響しているとされ、比較的若年層で発症し、インスリン自己注射による治療を行わなければなりません。

Ⅱ型糖尿病(インスリン非依存型)

遺伝的要因や運動不足、過食などの生活習慣の積み重ねで発症するものです。このほか特定の疾患によるものや、妊娠中に糖代謝の異常で起こる妊娠糖尿病などがあります。日本では6人に1人程度がⅡ型糖尿病、あるいはその疑いのある人と言われています。

Ⅱ型糖尿病に関しては、まず予防していくことが重要になります。
ひとつは食生活に関し、血糖値が高くならないような習慣に改善することです。
具体的には食べすぎや飲みすぎを避ける、間食や夜食を控える、ということです。
食べたものはそのまま糖分として取り込まれますし、特に夜遅くの食事摂取は血糖値の増加を引き起こしやすいとされていますので、注意が必要です。
また極端な食事制限は他の疾病の原因ともなってしまいます。
あくまでも栄養バランスの取れた、規則正しい食事の摂取が基本になります。

もうひとつの予防対策は、血糖値が高くなりにくい体を作っていくことです。
糖は細胞に入り込み、細胞が活動するためのエネルギーになりますが、その過程はインスリンの働きによってコントロールされています。
肥満、特に内臓脂肪型肥満では、インスリンがあってもその働きが鈍くなり、血糖値が高くなりやすくなります。
また筋肉体質では、インスリンの働きが良くなり、血糖値は高くなりにくくなります。
インスリンによく働いてもらうためには、肥満を防止すること、ウォーキングや体操、筋肉トレーニングなどの運動を積極的に行うことが重要です。

生活習慣の改善だけでは血糖値が十分にコントロールできず、合併症につながる恐れのある場合は、薬物療法として経口血糖降下薬を並行して用います。

糖尿病の治療で用いられる経口血糖降下薬

  • スルホニル尿素薬
  • ビグアナイド薬
  • DPP-4阻害薬
  • 速効型インスリン分泌促進薬
  • チアゾリジン薬
  • SGLT2阻害薬
  • α-グルコシターゼ阻害薬

生活習慣の改善および経口血糖降下薬でも血糖値が下がらなければ、Ⅰ型糖尿病と同様に、インスリン自己注射を行うことになります。
当クリニックでは、生活習慣の改善によって糖尿病を発症することを防ぐ一次予防から、発症してしまっても血糖値をコントロールし健康的に生活していく二次予防、さらに合併症の発症を防ぐ三次予防まで、患者さまの状況に合わせて行っていきますので、健康診断等で高血糖を指摘された場合は、早めにご受診ください。

高尿酸血症(痛風)とは

尿酸とはプリン体を分解したときにできるカスのようなものです。
プリン体は運動したり臓器を動かしたりするときに使われるエネルギー物質で、細胞の新陳代謝の過程でも産生されます。
一日に産生される尿酸の量は薬700mgと言われ、排出される量も同量ですので、バランスがとれています。
そのバランスがくずれ、尿酸の産生量が増えたり、排出量が減ったり、あるいはその両方で、体内における尿酸の量が増えると血液中の尿酸値が上昇してしまいます。
これがいわゆる「痛風」の原因である高尿酸血症です。

バランスが崩れる理由としては、腎機能の低下で尿酸が十分に排出できないこと、また何らかの疾病で、老廃物である尿酸が大量に産出されること、さらにプリン体を大量摂取したことなどがあげられます。
その結果として、血液中に含まれる尿酸が7.0mg/dl超えると高尿酸血症と診断されます。
高尿酸血症は、痛風だけではなく、尿路結石(尿管結石および膀胱結石)の原因ともなります。

血中で尿酸値が高いだけでは自覚症状はありませんが、その状態が続くと、水に溶けにくい尿酸は針状に結晶化。その結晶が関節などに蓄積していきます。
この結晶を体が異物と捉えることにより、炎症反応が起き、これが痛みとなってしまうのが「痛風」です。
とくに足親指の付け根などの小さな関節に発症しやすく、膝などにも発症する場合があります。
発作は数日で収まる場合が多いのですが、高尿酸血症をそのままにしておくと、繰り返し発症し、関節が変形してしまう危険性もあります。
また尿酸の結晶が腎臓に溜まると結石ができ、それが尿管や膀胱に移動する際に炎症をおこして激痛を生じさせます。これが尿路結石です。

また高尿酸血症は、圧倒的に男性に多く、女性に少ない病気となっています。
これは女性ホルモンが尿酸の代謝に関係するためと考えられています。ですので、女性ホルモンが減少する閉経後には、女性でもやや増加する傾向にあります。

高尿酸血症の治療としては、まず生活習慣の改善から取り組みます。
鶏卵や魚卵、肉、魚などには、プリン体が多く含まれますので、これらの摂取について、コントロールする必要があります。
近年ではプリン体オフのアルコール飲料が販売されていますが、アルコール自体に尿酸値を上げる働きがありますので、飲酒の量は控えめにしたほうが良いでしょう。
合わせて野菜や水分を多くとる(1日2リットル程度)ことが重要です。

また、運動は生活習慣病の予防には非常に有効なのですが、過度な運動や無酸素運動をすると、尿酸が産生されやすくなります。
尿酸が高い人は激しい運動はせず、軽いウォーキングなどの有酸素運動にとどめたほうが良いでしょう。

生活習慣の改善でも高尿酸血症が収まらず、痛風などの症状が出た場合は、投薬による治療も行います。
尿酸の生成を抑える薬や尿をアルカリ化する薬、さらには尿酸の排泄を促す薬など、患者さまひとりひとりの症状や体の状況に合わせて処方していきます。
また痛風の関節炎を抑える薬としては、主に非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)、を使用していきます。