ピロリ菌検査とは

ピロリ菌のイメージ写真

胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因の7~9割にヘリコバクター・ピロリ菌が関係しており、胃がんを引き起こす原因ともなることが知られています。
日本人はこのピロリ菌に感染している比率が高く、以前は8割が感染しているとされてきましたが、衛生環境が改善した今でも、5割ほどと見られています。
現在は免疫機能が完成していない子供のころに、大人からの口移しなどで感染することが多いとされています。

ピロリ菌は胃の強い酸性の中で生き延びるため、ウレアーゼという酵素を使い、胃の中にある尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解。そこで作られたアンモニアによって、周辺の酸を中和し、自分の住みやすい環境を作り出します。
このアンモニアにより、胃を防御する粘膜の粘液が減り、粘膜が酸にさらされることにより胃炎や潰瘍が発症しやすくなります。
またピロリ菌自体も胃粘膜のたんぱく質を傷つける毒素を出しており、さらにそれに対抗するために集まってきた白血球が、胃の粘膜を傷つけてしまいます。

当クリニックでは、ピロリ菌検査を行い、万が一、菌の存在が認められた場合は、ピロリ菌の除菌を行います。
検査に関しては、内視鏡検査で胃炎が見つかった場合、内視鏡検査または胃X線検査で胃潰瘍・十二指腸潰瘍と診断された場合、突発性血小板減少性紫斑病と診断された場合のいずれかで、保険適用で検査することができます。
また、それ以外の場合でも、自費(全額自己負担)で検査を行うことが可能です。
自費による検査でピロリ菌が発見された場合でも、ピロリ菌の除菌に関しては保険が適用されます(二次除菌まで。三次以降は保険適用外)。

ピロリ菌の検査方法は、内視鏡を使う方法と使わない方法があります。

内視鏡を用いる方法

迅速ウレアーゼ試験

胃の粘膜を採取し(生検)、ピロリ菌が持つ酵素・ウレアーゼが尿素からアンモニアを生じさせる機能を利用し、尿素を含んだ試薬内におけるpH指示薬の反応によって判定します。

鏡検法

採取した胃の粘膜を染色し、その後顕微鏡で観察し、ピロリ菌の有無を確認します。

培養法

採取した胃の粘膜をすりつぶし、培養してピロリ菌を発育させて調べる検査です。
同時にそのピロリ菌の除菌に効果のある抗菌薬も調べることができます。

内視鏡を用いない方法

尿素呼気試験

診断薬を飲んだ状態と、飲まない状態で、それぞれ息を吐き、ピロリ菌の酵素・ウレアーゼによって産出された二酸化炭素の量を測定し、判定します。

抗体検査(血液検査)

ヒトの体内では、菌に感染すると抗体ができます。ピロリ菌でも同様です。
血液中における抗ヘリコバクター・ピロリ抗体を測定し、その値の高さで判定します。

糞便抗原測定

糞便中にピロリ菌の抗原(ピロリ菌の出す毒素や菌の成分)の有無を調べ、胃腸内にピロリ菌がいるかどうか判定します。

検査法に関しては、患者さまの状況(現在治療中の病気の有無や、服用中の薬の種類など)に合わせて、選択します。

ピロリ菌が発見された場合、当クリニックではピロリ菌の除菌も行います。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍だけでなく、胃がんの原因ともなりますので、除菌することを強くお勧めします。

ピロリ菌の除菌では、3種類の内服薬を用います。
ひとつは胃酸の分泌を抑える、ラベプラゾールやボノプラザンといった制酸剤、そして「アモキシシリン」「クラリスロマイシン」のふたつの抗生物質です。これらを1日2回、7日間連続して服用します。
これで約70~90%の方が除菌に成功しますが、不成功となった場合は二次除菌(この場合の抗生物質は「アモキシシリン」と「メトロニダゾール」を使用します)、さらに三次除菌を行う場合もあります(二次除菌までが保険適用で、三次除菌以降は保険適用外となります)。